2023.02.28

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印象学研究vol.2~ヘアカラーは印象を変化させる~

前回の「印象学研究」の記事では、髪の艶が人の印象や触感に与える影響を解説しました。
今回は、艶と髪色が人の印象にどのような影響を与えるのか?艶と髪色の組み合わせによって印象に違いが出てくるのか?さらに、「透明感」を感じる髪はどのようなものなのか?心理学的アプローチを用いた研究結果を解説します。

〈ルベルの印象学研究①〉印象における艶と髪色の関係性

印象に大きな影響を与えると考えられている髪色ですが、艶が加わることによって生じる印象の変化を調べます。
ヘアケアに対して意識の高い25~44歳の女性を対象に、統計学的手法を用いて試験を実施しました。

試験方法は、「ブラウン/アッシュ/レッド/オレンジ」の各髪色につき、艶を「低い/中程度/高い/過剰(少しベタつきを感じる)」の計16通りに設定し、女性ファッション誌から選定した22個の評定語を提示します。

16枚の各写真について、22個のワードがどの程度当てはまるか点数をつけ、約100名の評価得点を集計しました。

〈ルベルの印象学研究②〉艶が色の見え方を変化させるブラウンの不思議

試験の結果、艶と髪色の変化とともに評定値にも影響があった評定語は、「似合う」以外の21項目でした。
中でも、髪色に関わらず艶が高まることで評定値が上がるものや、「中程度の艶」が評定値をもっとも高くするものも見受けられました。

例えば、艶が高まるにつれて、評定値も高まる6つの評定語は以下となります。

下のグラフは、「しっとり」を例に挙げています。横軸が艶の度合い、縦軸が評定値、各髪色は記号で示されています。

グラフからわかるように、髪色に関わらず艶が高まることで評価が上昇。ほかの5つの評定語においても同様の結果となりました。
つまり、艶の向上は髪色に関係なく、これらの髪の印象を高めることに有効であると考えられます。

次に、艶と髪色が評定語に対して、それぞれ単独で影響を与えているのか、複合的に影響を与えているかの交互作用を調べました。
結果は、「アッシュみがある」等の色みに関連する評定語は複合的に影響しており、それ以外の評定語は単独で影響を受けていると見なせました。これは、ヘアケアで毛髪に艶を与えたり、ヘアカラーによって髪色を変えたりすることで、各評定語に当てはまる「印象」が単純にプラスされて生じると考えられます。

ただし、ブラウンに限り、色みに関連する評定語に複合的な影響を与え、色みを評価する際に艶の影響を受けることがわかりました。

グラフを見ると、赤線で囲ったブラウンは艶の度合いによって、色みの評価が変化しています。
これは、人間の注意配分能力による影響と考えられます。人間は顕著なものに目を引かれると、他のものを過小評価するという傾向があります。つまり、アッシュやレッドのように見慣れない髪色は色みに評価を奪われ、艶の変化は過小評価されていると考えられます。
つまり、ブラウンは普段から見慣れている色であるため、艶の変化に対して敏感に反応し、その結果、色みの評価に艶が影響したのではないかと考えられます。

〈ルベルの印象学研究③〉透明感の正体

ヘアカラーの中でも「外国人風カラー」として人気の高い透明感カラー。「透明感」とはいったいどのようなものなのか? 今回の実験結果から統計学的手法を用いて調べました。

今回使用した評定語「透明感がある」に連動して評価が変化するワードを分析したところ、「透明感」に影響するものとして、+に働く要素と−に働く要素が存在しました。

ここから導き出せることは、色みに着目すると「透明感とは、アッシュみがあって赤みがないカラー」であり、「上品」「ツヤがある」「きれい」「清潔感がある」ことも、透明感の大きなポイントと考えられます。今回用いた評定語から、「透明感」の約57%を説明できる結果となりました。

艶と髪色が与える印象を知り、もっと自由に

今回、艶と髪色との結びつきを明確にしたことで、より効果的なカラーデザインの広がりの可能性が示唆されます。
髪は、人の印象を変える強い力を持っています。これからも、髪の力がどれだけ影響を及ぼすものなのか、心理学的アプローチで解明していきます。
ほんの少し髪に意識を向けるだけで、あなたの印象は大きく変わります。ヘアケアやヘアカラーで印象を操って変化を楽しみ、様々な自分を見つけましょう。

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