2022.02.15

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ヘッドスパを科学する~髪と頭皮から波及する全身への影響~

頭部を温めながら血液などの循環促進やリラクセーションなどを行うヘッドスパ。髪や頭皮だけでなく身体にもなんとなくよさそう、と感じている方も多いのではないでしょうか。

そのような感覚的な効果を科学的に証明できないかという考えのもと、当社ではヘッドスパ研究を行っています。頭部だけにとどまらない、様々な効果を紹介します。

頭部への施術が全身に与える影響

ヘッドスパは、 頭(head)+温泉(Spa)の造語で、髪や頭皮、心身を美しく、健康に保つことを目的に行うことから名づけられたヘッドケアプログラムです。その効果は、頭皮や髪だけでなく、全身へ波及することが期待されています。

実際に、以下のような効果が当社の研究で明らかとなりました。

①ボリュームアップ

頭皮の血流が促進され、凝りがほぐれ、毛髪の根元の立ち上がりがアップ。(図1)

②スッキリした表情&リフトアップ

表情筋や血流に影響を与えることにより、表情に変化が出ました。(図2)

また、リフトアップのような部位形状の変化も見られました。(図3)

免疫関連の物質アップ

唾液中において免疫グロブリンの一種、免疫グロブリンA(sIgA)が施術後に増加。sIgAは快適性が向上した際にも増加する免疫関連の物質です。(図4)

副交感神経アップ

頭皮マッサージ施術中には、心拍の間隔から算出された副交感神経の指標を示すHFが増加。増加すると副交感神経が活発化します。(図5)

血流の促進

施術中に、手や足などの末梢部位での血流量が増加。(図6)

さらに、首や手などにおいては皮膚表面の温度も上昇。(図7)

頭皮に対しての施術が血液循環に影響を与え、それにより表面温度も上がることがわかりました。

脚のむくみ緩和

施術前と比較すると、右下腿の推定体積が施術後は減少。(図8)

「心」と「身体」を科学する生体解析

心と身体は互いに影響を与え合っています。その考えに基づき、身体(生理的)と心(心理的)の両側面から測定を行い、ヘッドスパをはじめとする研究に取り組んできました。

<検証方法の一例>

自律神経に関する測定を行う場合、周囲の環境(音、人の動きなど、温度、湿度)による影響を大きく受けます。それらの影響を一定にするため、検証の前には環境に馴化(じゅんか)するための安静時間を設け、その後、施術前の測定を行います。施術中はセンサーを取り付けてリアルタイムで測定し、施術後も施術前と同じ条件で測定を行います。

 

<計測手法>

・末梢血流の測定

指先に装着したセンサーを介して、皮下毛細結管網における血流量をリアルタイムで測定します。右図は、実際に測定した際の血流波形を示しています。

 

・サーモグラフィによる皮膚表面温度の測定

対象物(被験者の測定部位)から出ている赤外線エネルギーを検出し、体表面の見かけの温度を測定します。測定環境を整え、同一スポットで検証することにより施術前後などの比較が可能になります。

 

・VAS試験

測定したい心理状態の項目ごとに紙などへ10cmのメモリのない横線を引き、両端に反対の指標を記載します(例:快適でない↔快適である)。ここに回答者が自由に縦線を入れることで、心理状態の程度を評価します。

 

・6点周囲計測法による足のむくみ測定

片方の脚の膝下で周囲径を測定します。一定の間隔5点と、最も周囲径の大きい箇所の合計6点で測定し、そこから5つの円錐(えんすい)台の体積を算出。それらを合算することにより下腿の推定体積を求めます。

ヘッドスパに関する様々な研究

「手技」から始まったヘッドスパの研究は、調べる対象をヘッドスパやシャンプーなどの施術だけに限定せず、さらに視野を広げたテーマを展開。そこから様々な効果が明らかとなりました。

<取り組んできたテーマと概要>

心と身体の美と健康。理美容サロンの新たな可能性

このようにヘッドスパから始まった研究ですが、現在ではそれに限定せず、ある事象が私たちの心と身体にどのような影響を及ぼすのかを調べることを目的とした「生体解析」とテーマを改めました。

美容行為は、施術などによる効果だけでなく、それによってもたらされる心の変化が重要です。そして、心が変化することで身体にも変化をもたらします。ただ髪が美しくなれるだけでなく、心と身体が健康で美しくいられる。私たちは理美容サロンにはそのような可能性があると考え、日々研究を続けています。

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