2021.04.28

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ポリグリセリン系洗浄成分の開発~肌にやさしいシャンプーを求めて~

ルベルは、より安全でより高いパフォーマンスを実現するため、製品の原料となる成分についても研究開発を進めています。シャンプーに配合される、ポリグリセリン系洗浄成分の開発について紹介します。

肌にやさしい洗浄成分

ルベルのシャンプーは、サロンスタッフの手肌への負担の軽減や、自宅で使用する際の頭皮環境を健やかに保つため、これまでも酸性石鹸系やアミノ酸系洗浄剤など肌にマイルドな洗浄成分を使用してきました。シャンプーに使われる洗浄成分には、やさしさの指標の一つとして「タンパク変性」があります。

皮膚の最表面にある角層は、食品用ラップほどの厚さしかありませんが、外部の刺激から体を守る重要な組織です。ケラチンという丈夫なタンパク質を含む角層細胞と細胞間脂質がレンガとモルタルのように配列しています。皮脂膜とともに、皮膚のバリア機能と体内の水分の消失を防ぐ保湿機能を担っています。強い洗浄剤は、皮脂や細胞間脂質を過剰に洗い流すだけでなく、角層細胞のタンパク質を変性させて保湿力や柔軟性が低下し、肌の乾燥などのトラブルに繫がります。

肌にやさしいシャンプーの洗浄成分には、不要な皮脂だけを洗い流す適度な脱脂力と、タンパク変性の起こしにくさが必要です。

新規ポリグリセリン系洗浄成分「ポリグリセリル-20ラウリルエーテル」の開発

非イオン界面活性剤の中では優れた洗浄力を持つポリグリセリン系洗浄成分。複数のグリセリンが重合した構造を持ち、タンパク変性が非常に低く、低刺激で安全性の高い洗浄成分です。ほかの洗浄成分と併用することで、タンパク質の変性や刺激を低減させることができます。ポリグリセリン系洗浄成分は、水の硬度や電解質の影響を受けにくく、汎用性が高いことから、洗顔料やクレンジング、シャンプーやボディソープなど化粧品に幅広く使用されています。既存のポリグリセリン系洗浄成分で、安全性と洗浄力を高めることはできましたが、シャンプーの使用感で重要となる、キメ細かくリッチな泡質を実現することはできませんでした。

そこで、安全性、洗浄力、そしてより豊かな泡立ちを両立する洗浄剤を目指し、新規ポリグリセリン系洗浄成分「ポリグリセリル-20ラウリルエーテル」の開発に至りました。成分単体でのパフォーマンスは向上しても、シャンプーの処方に組み込むと泡立ちが低下するなど開発は難航しましたが、共同開発企業の協力もあり、約3年におよぶ研究の末、ついにグリセリンの構造を多く持った「ポリグリセリル-20ラウリルエーテル」の開発に成功しました。

「ポリグリセリル-20ラウリルエーテル」の機能性検証

◇タンパク変性の抑制

「ポリグリセリル-20ラウリルエーテル」を助剤として、ほかの洗浄剤に加えた場合、タンパク質の変性が抑えられます。(表1)

◇洗浄力

皮脂とともに皮膚表面に分泌されるポルフィリンは、紫外線によって過酸化皮脂を生成することから、皮脂および過酸化皮脂の指標となります。「ポリグリセリル-20ラウリルエーテル」を配合したシャンプーは、未配合のシャンプーと比較して、毛穴の皮脂が除去されています。(図1)

◇泡立ち

従来のポリグリセリン系洗浄成分に比べ、「ポリグリセリル-20ラウリルエーテル」洗浄成分では、ボリュームや泡立ちも向上し、やわらかくきめ細やかな泡質になります。(図2)

新規ポリグリセリン系洗浄成分「ポリグリセリル-20ラウリルエーテル」の開発により、従来のポリグリセリン系洗浄成分で課題となる洗浄力や起泡力を解消し、高い安全性、洗浄力と豊かな泡立ちが実現しました。

このように、原料開発においても研究を重ね、より高機能な製品の開発へ応用されます。

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