ヘアカラーには、ヘアマニキュアと呼ばれる酸性カラーやビビッドな色表現が得意な塩基性カラー、1日限定で楽しむワックスやスプレーなどがありますが、中でも髪色を明るくすることができる「アルカリカラー」は最も一般的なヘアカラーです。
今回は、ヘアカラーをすると髪が美しく見える理由と、髪が染まるしくみやアルカリカラーの成分について解説します。
ファッションカラーとグレイカラーの違い
アルカリカラーは主に2種類あり、それぞれ目的が異なります。
・ファッションカラー:髪色を明るくしたり色を入れることで、髪色を楽しんだり、顔まわりに軽やかな印象を与えたり、個性を演出したり、ファッションとしての様々な目的があります。
・グレイカラー:白髪を染めたりぼかしたりすることにより若々しい印象を与えることや、白髪を活かすことできれいに見せるという目的があります。グレイカラーは、ファッションカラーのように思い描いた色みに染め上げることに加えて、白髪と黒髪が馴染んで溶け込むように、にごりやくすみのある色みの染料が含有されているという特徴があります。
アルカリカラーが髪を染めるしくみ
アルカリカラーは、毛髪を脱色(明るく)しながら染めることができます。そのしくみを見ていきましょう。
アルカリカラーは1剤と2剤からなります。
1剤の主成分は酸化染料、アルカリ剤で、その他クリーム状の剤型にする基材や毛髪保護成分、安定剤が配合されます。
2剤の主成分は酸化剤や酸で、その他基材や安定剤からなります。
染料やアルカリ剤の配合量や組み合わせにより、毛髪を脱色する度合いや色合いの特徴を生み出しています。
1剤のアルカリ剤と、2剤の酸化剤(過酸化水素)を混ぜ合わせることで化学反応を起こし、以下のプロセスで髪を染めます。
①アルカリにより膨潤した毛髪表面のキューティクルが開き、染料が内部に侵入。
②発生した酸素により、毛髪のメラニン色素を分解し脱色。同時に染料が酸化重合により高分子化して発色。
③髪を乾かすことでキューティクルが閉じ、染料が毛髪内部にとどまる。
【コラム】地毛の色はどのように決まるの? 髪色は、毛髪内に微量に含まれる小さな粒状のメラニン色素で決まります。黒~褐色の「ユーメラニン」と赤褐色~黄色の「フェオメラニン」の2種類のメラニン色素の配分量によって、毛髪の色みや明るさが異なります。日本人のようにユーメラニンが多いと黒髪になり、少ない場合はブロンドヘアになります。フェオメラニンが多いと赤みの多い髪になり、少ないと赤みの少ない髪になります。メラニン色素がない場合は、白髪になります。 |
ヘアカラーをすると髪がきれいに見えるのはなぜ?
アルカリカラーには、毛髪保護成分としてキューティクルやコルテックスのダメージを修復する成分が配合されています。そのため、手触りまでよくなることがあります。
(キューティクルやコルテックスについてはコチラ「毛髪の基本構造」)
毛髪の表面がざらついていると光が様々な方向に拡散し、乱反射してしまいますが、毛髪保護成分で整えられた表面や内部はなめらかになります。光が乱反射せずに正反射することで毛髪のツヤが出やすくなります。
ただし、毛髪内部まで浸透するアルカリカラーでも褪色はします。
色落ちの1つの原因は、染料の流出です。髪を洗う時に再びキューティクルが開き、毛髪内部にとどまっていた染料が流れ出ていきます。
もう1つの原因は、染料の変化です。アイロンの熱や紫外線の影響により、染料自体の構造が変化し、色が変わったり発色が弱くなります。
定期的にカラーリングをすることもできますが、毎日のケアでのカラーシャンプーの使用や、ぬるめのお湯で洗うことで、褪色が軽減できます。
ヘアカラーを理解し、美しくツヤのある髪へ
おしゃれを楽しむ上で欠かせないヘアカラー。ヘアサロンでは、たくさんあるヘアカラー剤の中から一人ひとりの髪に合わせたアイテムを選定し施術します。ヘアカラーをすることで、毛髪にどのような変化が起きるのかを知ることは、より美しい髪になるためへの第一歩です。ヘアカラーが染まるしくみや褪色するしくみを知って、美しくツヤのある髪を維持しましょう。
参考:『きほんの毛髪科学』(女性モード社刊)
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